鮮明に思い出すのは、椋の 「は?杏果のことなんか別に好きじゃねーし」 という言葉。 真っ暗になって真っ白になって真っ青になって。 その場で倒れたっけ。 目を覚ました時、そばにいてくれた椋に私は確か ……… 「雨水くん、な、んか、だいっきら、いっ」 その言葉を境に、必要以上の言葉を交わすことなく、中学3年のバレンタインを迎えた。 マカロン。 うまく丸くならくて、なぜか少ししょっぱくて。 渡せなかったっけ。