「友チョコってことに、しといてよ。」




と呟いて、タルトを貰ってくれた。





「あっ、ありがとう……っ!」



「ん、ほら早く行きなよ、」





─── 初恋のハッピーエンドは目の前にあるんだから。




なんて、三葉くんは格好つけていたけど、聞こえた声はなぜだか少し声が震えていた。




他の子からチョコ、もらえなかったのかな?




なんて呑気に考える私は気が付かなかった。





───── 友チョコってことに、しといてよ




その言葉でひとつの恋がシュワっとはじけて消えてしまったことに。




西日に照らされる三葉くんが、静かに涙を流していたことに。