明日の夢は~プロローグ~
中学2年生。9月の終わり。1階建ての家に響く着信音。何不自由無く学校に通い、平凡に暮らしている私に、突然訪れた不幸。主張先の海外で他界した両親。その知らせを受けて私は愕然とした。私がもっと小さい頃に祖父母も他界している。そうなると私は死んだも同然な訳で。警察に連れられ向かった先に2つの棺が並べてあった。棺を開け2人の頬に触れた。凍ってしまったかのように冷たく、この世のものでない気がした。私は寒気を覚えた。私の親族は全滅。お葬式など開ける訳が無い。警察の協力で火葬場には連れて行ってくれるそうで。燃やされていく両親を私は涙流さず、あえて無心で眺めていた。全ての用事が終わったあと警察は私を家まで送り届けてくれた。まず、学校に連絡。私の通っている学校は変わっていて「月陽学院第5棟(ツキヒガクインダイゴトウ)」という超能力・魔法を取り扱う学校。私は生まれ持った才能で多種多様な超能力が使えた。結構優秀な生徒だったと思う。小等部5年で高等部の先輩に勝てるとして有名になった事もあった。そんな学校の担任に事情を話すと、
「えーと…災難だったね。でも来月分払ってあるから、来月までは学校通えるからね」
と言われた。ホッと安心すると、ドッと疲れが押し寄せてきた。私はベッドに横になった。横の窓から外を見ると丁度正午の鐘がなった。それと同時にまた着信音がなる。嫌な予感がした。私は震えながらもゆっくりと電話に出た。警察からだった。私の嫌な予感は的中し、警察はそんな私にこう言い放った。
「君を引き取りたい人がいるそうだ」
いや、それは嬉しいけど迷惑になる…そう言おうとした私に警察は
「もうそちらに向かっているそうだよ」
と衝撃的な事を口にした。と同時に家のチャイムが鳴った。