って思ったんだけど、次の瞬間俺が見たくな

い光景を目撃してしまった。


おいおい・・・何やってんだあいつは。


そいつはキリッとした顔のイケメンだ。そ

んなイケメンが葵さんの髪にそっと触れ

た。


な、何だあいつは!イケメンだからって許

されないぞそれは!


俺は心の内で密かに闘争心を燃やしながら

車を出た。


「葵さん、何やってるの?」


葵さんの顔が明らかに引きつる。別に俺は

怒っているわけではない。ただこいつが何

者なのかを知りたかった。

「えーっと、この子はね」

「初めまして。篠宮渚(しのみやなぎさ)

です。葵のいとこで高校二年です」

その高校生が葵さんの言葉を遮って自己紹

介してくる。想像より礼儀が良くて思わず仰

け反った。

「えっ・・・と、いとこって?」

「ああ・・・彼ね、私の姉の子供なの」