~3時間後~

「結構楽しかったな」

「だね」

俺達はたまたま近くでやっていた野外ステー

ジを観覧していた。あまりテレビには出な

いが俺は知っているアーティストのステージ

だった。


他の観客も盛り上がっていて、俺達もそれは

それは充実した時間を過ごしていたわけだ

が、さすがに炎天下はキツい。葵も汗だく

になっている。


「葵、大丈夫か?」


汗を拭いてあげたいが、運の悪い事にタオ

ルを車の中に忘れた。とりあえずドリンク

を買おうと葵に背を向けた途端、後ろで

「ドサッ」と音がした。

何だか猛烈に嫌な予感がする。おそるおそ

る振り向くと葵が倒れていた。

「おい、葵?葵?大丈夫か?」

声を掛けてみるものの反応がない。あたふ

たするばかりでどうすればいいのか分から

ず、たまたま近くにいた旦那に助けを求め

た。