「そうだね 俺も、変わらないよ」 私にはその会話の真意は分からない。 だから何も言うことが出来なかった。 「じゃあね、南都」 そう言って背中を向けて歩いていく。 「あ、あの...ありがとう」 不穏なこの空気の中で言うべき言葉は『ありがとう』でいいのかは分からなかったけどその言葉しか出てこなかった。 海斗くんはちょっと振り向いてにっこり笑うと背中越しに手をひらひら振りながら教室を出て行った。