そして、デート当日。


私は咲に教わった通りにナチュラルメイクをし、ボブの髪を少し外跳ねにセットして、露出度低めでという私の切実な願いが反映された小さな花柄のレトロワンピースを着て家を出た。


こんなに女の子らしい格好をするのは久しぶりでそわそわする。


待ち合わせの駅まで行くと、既に先輩は待っていた。


先輩の私服は、まあ悔しいけどすごくかっこよくて似合ってて。


立っているだけで通りかかる女の子が先輩を見るのが分かる。


なんだかそれだけで罪悪感や不安で回れ右をして帰りたくなってしまうが、私はぐっとこらえて先輩の元まで行く。


「先輩、ごめんなさい、待たせちゃって」


「柚月ちゃ…」


先輩は言いかけた言葉を飲み込んでじっと私を見つめる。


「…先輩?」


「…」


「えと…あの…先輩!」


私の声にハッとして、先輩は照れたようにそっぽを向く。


「あの、どうかしました…?」


「いや…柚月ちゃんがすごいかわいいから」


「なっ…!」


体温が一気に上昇する。この人はなんでこんな風にさらっと恥ずかしいことを言えるんだろう。


それに、キラッキラの先輩に言われても嫌味にしか聞こえない。


「もっもう!行きましょ!」


私は周りの目から逃れたくて走って駅に入る。


「あ、待ってよー」