「……」
「ん?柚月ちゃん?なんか静かじゃない?」
「や!こ、こっち見ないでください!」
私は顔をかばうようにして腕で覆う。
「…あー、やっぱり心臓に悪いかも」
「え?」
私は腕の隙間からそっと先輩の顔を見る。
あ、また。
あの時と同じ…ほんのり、赤い顔。
「気づいてない?柚月ちゃん、すごい甘い匂い…」
「へ、変態!」
「ええ!?」
私は体の向きを変えて、先輩に背中を向ける。
体が、ふわふわする。
自分のは、わからないけど。
だとしたら、先輩も私と同じ気持ち?
鼻をつく先輩の匂いが、さっきよりもずっとずっと甘くなってるのは、私だけの秘密。

