「絶対に触らないでくださいね!」


「はいはい」


私は警戒しながらゆっくりと先輩の隣に腰を下ろす。


心臓がおかしいくらいうるさい。


そんな私の気も知らないで、先輩は嬉しそうにニコニコしている。


「…なんでそんなに笑顔なんですかっ」


「え?だって、柚月ちゃんからこんなに近くに来てくれるの、初めてだから。」


「…これは、近づきたくて近づいてるんじゃないです。不可抗力です。」


私は熱くなっている顔を見られないようにそっぽを向く。


触れそうで触れない距離。


でも、たしかに隣に先輩がいるのを感じる。


本当にこんなに近くに男の人がいるの、久しぶりだ。