「ほんと?ちょっと寝不足なんだ、実は」 そう言ってヘラっと笑う先輩の笑顔が、なんとなくおかしい気がして。 私はなんとも言えない不安に襲われる。 「柚月ちゃん、そんな不安そうな顔しないで。ね?」 ポンポン、と頭を撫でて、先輩は笑う。 でも、私は笑えなかった。 制服の袖から覗く先輩の手首に、たしかに見えた。 くっきりと浮かぶ痣。尋常じゃ無い力で握り締められたような。 …先輩、何か隠してるの?