「…うまい!」


「絶対嘘!」


だって調味料の配分おかしくなっちゃったし、急いでたから形だってよくないし…


「柚月ちゃんが作ったんだから、美味しいに決まってる」


…ああ、またそうやって、私を困らせる。


先輩の言葉はまっすぐで、優しくて、私をくすぐる。


「俺に作ってきてよ、今度。ダメ?」


「…こんなんでいいなら」


料理、もっと上手くなろう。


そう思ってる自分に驚く。


先輩のそばにいると、どんどん変わる。ひねくれ者の私が、簡単に剥がされる。


なんて、ずるい人なんだろう。