「いや、いなかったから。まだ、柊くんは現れてない」

「そいつは、まだブレスレットしてるの?」

「してないよ。彼女に渡してあるみたい。…その時のヒトが彼女なんだけどね」

柊くんは少しの間、その言葉をかみしめて、

「ああっ」

片手で胸を押さえてよろけた。

「…かわいそうに、江間さんはまだ、毎日ブレスレットお守りに頑張ってるのに」

「はいはい」

「…かな。もう、なくてもいい気がするけど」

呟いた。

「え?」

「いや。…どこに行こうかな…とりあえず、お腹すいたな」

お腹、すくんだ。

絶食モードじゃなくて、良かった。