「こんなとこで、良く眠れなかっただろ?帰ってゆっくり休まないと」

「そうなんだけど...怖いなあ。あたし、今日一日携帯をオフにしててもいいかな」

「その方がいいかも」

あたしと柚葉さんは、朝ごはんを食べて、そこを出た。

「残念だなあ。せっかく柚葉さんに会えたのに」

「実はオレ、寝てないんだ。これから帰って寝る」

「…もしかして、一晩中、帰らないで、ここで落ち込んでたんですか?」

無言で微笑まれる。

なんか、悔しいな。

「はいはい。引き続き、帰って落ち込んでください」

「…どうかな。エマに好かれてることが分かったから、落ち込めないけど」

はいはい、きっと、こうやって生きてきた人なんだよ、このヒトは。

「…何、その呆れた顔は。…あ、信じてないね。オレの言ってること」

「はい」

「…そうか、信用はなかったか。まいいや。じゃあね」

柚葉さんは言って、あっさりと帰っていく。

…こういうとこが、信用できないんだよな。