でも、怖がっていることを、知られるのは物凄く癪だ。

ハネ上がろうとする心拍数も、意識的にねじ伏せる。

こんな奴に、屈しない。

「何でかなあ。オレは凪が嫌いでたまらない。この世に生まれてきた瞬間から」

「気が合わないですね。あたしは好きですよ」

ニッコリ、微笑まれる。

その目ははっきりと、あたしを『獲物として』認識している。

ああ、何で、適当に逃がられなかったんだろう。

「やっぱり面白い」

カチッ。

耳元で金属音がした。