「勘ってさ、いつも大事なときに働いてくれる訳じゃないじゃん。きっと、人生を左右するような、一大事の時には働かないんだよ」

「そうか。江間さんと仲良くなるのは、人生を揺るがすような一大事じゃなかったんだ」

「そうなんだね。あたしにとっては大事なことだったけど。...でもさ、仲良くなる人だ!って確信なんかなくたって、仲良くなったと思う。だから、勘としてはあんまり役にたったとは言えないと思う」

柊くんは、うつむいて、声なく笑って、

新しいジョッキのビールをあおった。

「柊くんって、あんまりお酒強いイメージないんだよね。もう、やめとかない?帰れなくなるよ」

柊くんは、あたしに向かって二いッコリ笑う。

「江間さんのうち、近いでしょう?泊めてもらうから大丈夫」

...そうなんだ。

怒られないのかな。

怒られないわけないか。

「あーもうっ。ダメじゃん。泊めてやるわけないでしょっ、とか怒らないと」

「そうなの?...ちょっと、楽しそうとか思っちゃった」