入学式には満開の桜。
いつか読んだ漫画にあった夢と希望のある景色を見ることを諦めたのは小学生。
卒業式に『実は好きだった』なんて頬を赤らめた男子からの告白。
誰かにオススメされて読んだ学校で流行った恋愛小説にありがちだったラストに憧れて密かに期待していた乙女心に現実を突き付けられた中学生。
電車通学で朝見かける他校の気になる男子。
電車通学どころか徒歩10分。
親の転勤のおかげで東京から九州へのお引っ越し。
知らない土地に、時たま聞こえる慣れない方言。頼れる友人は海を挟んだ向こう側。
新たな生活に胸が弾むどころか上手くやっていけるかの不安で破裂しそう。
「……頑張れ私。女は度胸」
碇要。高校一年生。
今日から始まる高校生活の第一目標はいじめられないことです。