教室に入ると、ほとんどの生徒がもうすでに集まっていて、髪型をセットしていたり、

舞台道具の最終チェックをしていた。

みんな楽しそうにしている。

その中に高津もいた。



パチっ



たまたま高津と目があった。



それなのに私は
不自然に目をそらし、

ロッカーにカバンをしまいにいかなきゃと
自分に言い訳をして教室を出た。



あのあと何があった


たく兄との関係



そんなことを質問攻めされるのは嫌だという
思いと



高津と会うのが恥ずかしいという
思いがあることにも気づいた。




私はわざとゆっくり荷物をしまい、
いつも気にしないロッカーの中身を整理する。



すると、斜め後ろに人の気配を感じた。


振り向くとそこにいたのは高津だった。



「何してんの」


「いや、...別に」



なんでだろう

上手く話せなかった。




最近高津と話すことがなかったからだろうか


少し顔を下を向いた。




「俺は白石の友達だよ。
誰がなんと言おうと俺は白石の友達だから、

もう1人で抱え込むんじゃねえよ」



そう言って高津は私の髪をぐしゃぐしゃと
かき回した。



「ちょっと!やめてよ!」


私は耐えられなくて怒鳴ると、



「ほら、白石はこうじゃなきゃ。」


そう言ってポンポンと私の頭をなでた。


私は涙が出そうになるほどそれが嬉しかった。


高津の言葉が嬉しかった。


「もう苦しむな。

俺がそばにいるから。」



そう言って高津は私と一緒教室へ戻ってくれた。