やっと2つ目のストラップがとれた。


俺は嬉しくてガッツポーズをした。


いつもなら財布と相談して途中で諦めるのだが、どーしてもとりたかった。


とってあいつを喜ばせたかった。



そんな俺の様子をみていた

スタッフさんが


「おめでとうございます、お兄さん」

と言った。

俺は恥ずかしくなって
上げていた腕を下ろした。


「それは大切な人にあげるんですか?」


「え、なんで...」


「だって、2つとってましたよね?
彼女さんとか?」


彼女...


どうしてそうなるんだと思った


「いや、友達に」


「え、友達?
それはないですよ。ただの友達のために男はそんなに頑張れませんよ。
それあげるの女の子ですよね?
喜ぶといいですね。」



そう言って、スタッフのお兄さんは
立ち去って行った。



確かに俺も途中から不思議に思っていた。

どうして俺はあいつのためにこんなにも頑張ってるんだって。

これをとるために使ったお金はタダじゃない。

それどころかUFOキャッチャーなんかにこんなにもお金を消費したのははじめてだ。


冷静になればそんなことが思い浮かんだが、
夢中になっていた俺が考えていた事は
白石の喜ぶ姿だけだった。