これが初恋だと気づいたのは小学5年生の頃だった。 周りの女の子たちはクラスの男子のことで色めき立っていた。 「蒼衣ちゃんは好きな人いるの?」 そんな言葉が日常的に耳に飛び込んでくる。 でもこの頃の私にとって恋なんてまだ遠くに感じていた。 「私は…いないかな?」 「嘘だー!ここにいるみんな好きな人教えたんだから蒼衣ちゃんも正直に言ってよね!!」 そんなこと言われても…と私はよく悩まされていた。 好きな人…好きな人 何度心のなかで唱えても浮かんでくる人の顔はなかった。