思っていた以上に時間をロスしてしまい、
部活に戻るのがめんどくさくなってしまった。



俺はゆっくりと来た道を戻った。


保健室前の廊下に差し掛かったときだ


数メートル先を歩く浅井先生の後姿が見えた。




浅井先生だ…



そう言えば、浅井先生

デートとか言ってたのに…



やっぱりあれは冗談だったのか。




俺は前を行く浅井先生に声をかけることはなく、保健室のドアを開けようとした。



カチャ


ガチャガチャ


あれ?

確かに鍵をさして回したはずなのだが、
鍵はかかっていた。


すると、中の電気がついた。


ガチャ

中から鍵の外れる音がする。



ガラガラッ


「ごめんね、今ここへ戻ってきて…
すれ違いになったのかしら?」



そう言って先生は俺を中へ入れてくれた。


保健室って、何気に初めてきたわ


俺は初めて会う保険養護の先生と初めての部屋に少し緊張しながら要件を話した。



「絆創膏?
わかったわ。ちょっと待っててね。」



俺は入り口付近に突っ立ったまま、保健室を見渡した。


いつもいる俺たちの教室と間取りは同じだというのに、こうも清潔感が違う。


ほんのり香るコーヒーの匂いが心地よかった。



部屋の奥にはベットが3つ並んでいる。



そのうち二つは綺麗に布団が敷かれていた。


しかし、気になったのは一番奥のベット。



カーテンが広げられていて、その隙間から見えたベットの上は、さっきまで誰かが使っていたようにシーツにシワがより、他のベットにはある綺麗に畳まれた毛布がなかった。


誰かここにいたのか?



そう思ったが、さっきまでここは閉まっいたんだ。そんなことない。