あれ、開かねえ…


なんだよ、保健室留守かよ。



ったく、なんで絆創膏貰いに俺が行かなくちゃならねんだ。

こういうのってマネージャーの仕事じゃねえの?


…って、先月マネージャー辞めてったんだっけな。




俺がここへやってきた理由は、監督からの理不尽な嫌がらせだ。


サッカー部の先輩が練習中に怪我をした。

大した怪我ではなく、ただ転んでできた擦り傷だ。


普通なら部室にある救急箱でマネージャーか自分で手当てをする。


それが今日は救急箱には絆創膏がなく、マネージャーもいねえ。

ってことは己で取りに行けってなるはずなのに、


「おい、高津!お前取りに行ってこい!」


「えっ?俺ですか?なんで…」



「ほら、お前の観客が見てるぞ。
カッコイイとこ見せねえとだろ。行け高津」


「そんなあ…」


グラウンドの外を見ると、ネット越しにこちらを見てくる女子生徒の軍団がいた。


俺はため息をつきながら、嫌々言っても先輩に申し訳ないから、仕方なく校舎の方へ足を向けた。


早く絆創膏の予備をもらって練習に戻ろうと思ったのによ…


これって、職員室に行かなくちゃダメなのか…?


俺はまたしてもため息をつき、二階にある職員室を覗いた。



「失礼します。
サッカー部の絆創膏が切れてて、絆創膏を箱ごと貰いたいんですけど、ありますか?」


「それなら保健室で貰ったら?」


「でも、保健室閉まってたんですけど…」


「えー、うそー
鍵戻って来てないわよ、ほら。」



入り口近くにある鍵がかかっているボックスをみると、保健室のところには鍵がかかっていなかった。

ということは、養護教諭の先生が鍵を持っていて、保健室を使用しているということだ。

だったら、なぜ、鍵がかかっていたんだ?



保健の先生もここいないから、まだ保健室にいるはずなのに…


「まあいいわ、予備の鍵渡すからこれで開けなさい。」

「ありがとうございます。」