「それにしても寂しくなるわねー。
卓巳君ん家引越しちゃうんでしょ?まあ、ここから創坂大学通うにはどの道一人暮らしだし、あちらの両親も東京に転勤になっちゃったらしいからねえ。」



……え??


たく兄ちゃんが…引っ越す??


「なにそれ。」


「あれ、蒼衣聞いてないの?
卓巳君引っ越すらしいわよ。」


うそでしょ…。

何も聞いて…ないよ?


そんなの…


私は持っていたスプーンを皿の上に置いて勢いよく立ち上がり、急いで玄関先に向かった。


「ちょっと蒼衣、どこ行くの!?」


私はそれを無視して、たく兄のもとへ向かった。



「ねえ、菜摘、蒼衣どうしたのかしら?」

「たく兄の家にでも行ったんでしょ」


「卓巳君何も言ってなかったみたいね。」


「そーだね。私も知らなかった…。」