だけど、あずささんだけは違った。


「もぉ、またぼーっとして。

...触ってみたいの?」



そう言って彼女は俺の手をとって、自分の胸を触らせてきた。


「ちょっとっっ、あずささん!」



俺が焦った顔をすると嬉しそうに笑った。


「こーゆうことしたかったんでしょ?」



彼女の言葉ひとつひとつでいちいち俺の心はビクついて鼓動が大きくなった。


理性などはなから働かなくて、


俺は彼女に操られているかのように
彼女を抱いていた。



「あずささん、俺、あずささんが好きです。」


「うん、私も好きよ。」



初めてだった。


自分から好きだと言ったのは。


自分から好きだと思えたのは初めてで、

俺はこれが本当の好きって気持ちなのだと


高3の夏を向かえる前に初めて知った。



「でも、卓巳くん、今日で最後なの。」



「え?」


「私、あなたのお父さんにお願いされちゃって、


あなたの家庭教師やめるのよ...。」





彼女は俺の腕の中でそういった。



「なんでですか!!」



「あなたを創坂大学に合格させるために、市内の予備校に通わせたいそうよ。」


「それだったったら、俺が父にいいます!
創坂大なら予備校なんていかなくても受かるって」



俺は必死になって言った。


あずささんと離れたくなかった。


だけど彼女は笑っていた。



「無理よ。



だって、私、




あなたのお父さんに




抱かれたんだもの。」