「なにか・・・ご存じですか?」
「ご存じだったら、聞きたいのか?首突っ込んで、前回みたいに、北京ダックになりかけたいか?」
「そうじゃないですよ!ただ・・・ちーちゃんが、友達が関わってるとなると、無視できませんので!」
「・・・凛ならそう言うだろうな・・・・」
ポットから手を離すと、両手を台の上に置く瑞希お兄ちゃん。
「凛は、仲間のことなら放っておけないもんな・・・」
「・・・?」
そう言うと、キッチンから出てくると強引に私の肩を抱く。
「あ・・・」
「まぁ座れよ。」
優しい口調とは裏腹に、私の肩を抱いたまま、近くのソファーへと座らせる。
真面目な話になりそうなのは表情でわかるけど・・・
(肩を抱いたまま並んで座るって、ラブイベント的にラッキー!)
〔★この後がラッキーとは限らない★〕
チラッと目だけで瑞希お兄ちゃんを見る。
彼は私をじっと見ていた。
それでドキドキしながら見つめ返せば、ゆっくりと口を開いた。
「幡随院が、全国ナンバーワンの半グレの頭だったのは覚えてるな?」
「は、はい!」
「俺らの町にも、半グレがいるのはわかってるよな?」
「え?ええ・・・いるとは思いますが・・・」
興味ないから知らないけど、この場は合わせておこう。
「今や半グレは、ヤクザをしのぐほどの性質の悪さと取り締まりのなさで有名だ。」
「そうなんですか?」
「凛は、『半グレ』って呼ばれる奴らがどういうもんか、わかってるか?」
「いえ・・・」
「じゃあ覚えとけ。今じゃ半グレは、『準暴力団』って言われてる。」
「準暴力団?」
「不良でもなければ、ヤクザでもない。白でも黒でもない、中間のグレーだから半グレだ。」
「ハーフみたいなものですか?」
「そんなとこだな。厄介なのは、簡単に逮捕できないことだ。」
「逮捕できない・・・?なぜです?」
「早い話が、暴力団みたいに取り締まる法律がないんだよ。」
「法律がない??」
予想していなかった答えを聞き返す。
これに瑞希お兄ちゃんは、詳しく説明してくれた。


