彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)






「なにか・・・ご存じですか?」

「ご存じだったら、聞きたいのか?首突っ込んで、前回みたいに、北京ダックになりかけたいか?」

「そうじゃないですよ!ただ・・・ちーちゃんが、友達が関わってるとなると、無視できませんので!」

「・・・凛ならそう言うだろうな・・・・」



ポットから手を離すと、両手を台の上に置く瑞希お兄ちゃん。



「凛は、仲間のことなら放っておけないもんな・・・」

「・・・?」



そう言うと、キッチンから出てくると強引に私の肩を抱く。



「あ・・・」

「まぁ座れよ。」



優しい口調とは裏腹に、私の肩を抱いたまま、近くのソファーへと座らせる。

真面目な話になりそうなのは表情でわかるけど・・・



(肩を抱いたまま並んで座るって、ラブイベント的にラッキー!)



〔★この後がラッキーとは限らない★〕



チラッと目だけで瑞希お兄ちゃんを見る。

彼は私をじっと見ていた。

それでドキドキしながら見つめ返せば、ゆっくりと口を開いた。



「幡随院が、全国ナンバーワンの半グレの頭だったのは覚えてるな?」

「は、はい!」

「俺らの町にも、半グレがいるのはわかってるよな?」

「え?ええ・・・いるとは思いますが・・・」



興味ないから知らないけど、この場は合わせておこう。



「今や半グレは、ヤクザをしのぐほどの性質の悪さと取り締まりのなさで有名だ。」

「そうなんですか?」

「凛は、『半グレ』って呼ばれる奴らがどういうもんか、わかってるか?」

「いえ・・・」

「じゃあ覚えとけ。今じゃ半グレは、『準暴力団』って言われてる。」

「準暴力団?」

「不良でもなければ、ヤクザでもない。白でも黒でもない、中間のグレーだから半グレだ。」

「ハーフみたいなものですか?」

「そんなとこだな。厄介なのは、簡単に逮捕できないことだ。」

「逮捕できない・・・?なぜです?」

「早い話が、暴力団みたいに取り締まる法律がないんだよ。」

「法律がない??」



予想していなかった答えを聞き返す。

これに瑞希お兄ちゃんは、詳しく説明してくれた。