彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)






「うははは!凛、顔が赤いでぇ~!?風邪かいな~!?」

「放っておいてください!!」



事情を知っててからかってくる関西男子が憎い。



「思ったより元気そうでよかったよ。それじゃあ、私はこれで失礼するね。」

「あ!シゲ先生、まだ往診するんすか?だったら、車、俺が運転しましょうか?」

「気持ちだけもらっておくよ、瑞希君。それよりも、早くお風呂からあがって、少しでも凛君に構ってあげなさい。その方が私は助かるよ。」

「シ、シゲ先生!?」



思わぬ援護射撃に目を見開けば、変わらぬ表情でご老体は言った。



「蓮君、次の診察日は、メールで伝えるよ。あまり無茶はしないようにね?」

「わ、わかりました。」

「もしかしたら、時間がなくてLINE連絡になるかもしれないからよろしくね。」

「は、はい!」

「じゃあね、みんな。」



そう言うと、キレイな姿勢で表の出入り口から出て行く医師。



「シゲ先生、ありがとうございました!」

「凛をありがとうございます!」

「うははは!おおきに!!」



見送る私達に、シゲ先生は笑顔で答えて去って行った。



「すごいですね、シゲ先生・・・。あの落としで、車の運転をして、診察して回って・・・全部一人でするなんて・・・。」

「それがあの人のやり方だ。けど運転は・・・そろそろ誰かに頼むとは言ってたな。免許返上するって、皇助が聞いたみたいだったからよ。」

「そうなんですか?」

「ああ。だから・・・俺らでよければ、運転引き受けようかって話になっててな。それぐれーしか、恩返しできないからよ。」

「じゃあ、僕も車の免許が取れたらお手伝いします!」

「ははは!そうしてくれ。シゲ先生には、長生きしてもらいてぇし、仕事抜きでドライブに誘ってリフレッシュしてほしいからな~・・・」



シミジミしながら言う瑞希お兄ちゃんを見て思う。

やっぱり彼は、義理堅く、思いやりがあって優しいと。