「私からすれば、どちらとも言えるね。」
「どちらとも?」
「瑞希君から、聞いていないんだね?」
「・・・・はい。」
「じゃあ、第三者が口出しすることじゃないね。私は心の医療については勉強中だから何とも言えないが・・・今はまだ、蓮君が知る時期ではないのかもしれないね。」
「僕が知る時期じゃない?」
「アキナちゃんが接触してきたのは、自分の存在をアピールするためだと私は思うよ。だから、自己紹介が終わった以上、もう表には出てこないだろうね。」
「どういうことですか?」
「裏に回って動くということかな。」
「裏・・・」
「どちらにせよ、私が蓮君に言えるのは、怪我をしたらすぐに連絡することと、早めに瑞希君に本当にことを話すことだよ。」
「うっ!・・・ふ、負傷した際は、頼らせて頂きます・・・!」
「うはははは!瑞希はんへの告白はー!?」
「時期が来てからですっ!!」
茶化すヤマトを怒鳴れば、部屋の外から大好きな声がした。
「凛!いるのか!?駐車場に、シゲ先生の車があるけどー!?」
「お兄ちゃん!」
素早く反応して和室の戸を開ける。
「お帰りなさい!」
靴のかかとを踏みながら、もつれる足で彼に飛びつく。
「おわ!ははは!ただいま、ただいま!あ、やっぱりシゲ先生来てたんすね!?」
「お邪魔してるよ、瑞希君。」
「うははは!瑞希はん、おかえりなさーい!」
「五十嵐も来てたのか?つーか、凛の怪我の往診すよね、先生?言ってくれれば、凛を連れて行ったのに。」
「良いんだよ。こっちには私の患者さんが多い。動き回らないと、体力が落ちる。」
「そりゃあ、そうっすけど・・・・あの、凛の怪我の具合はどうっすか?」
私の頭を撫でながら、不安そうな顔で聞いてくださる好きな人。
これにシゲ先生は穏やかに答えてくれた。


