彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)





「蓮君の場合、今後も怪我をすることは多いかもね。その時は、遠慮しないで私を呼ぶか、たずねるかしなさい。時間に関わらず、呼んでいいからね?」

「あ・・・ありがとうございます。」

(とはいえ、さすがにご老人を呼び出すのはちょっと・・・)


「本当に、遠慮することはない。年寄りだからと、遠慮される方が困るからね?」

「え!?あ、ああああああ、はい!そうします!」



一瞬、自分の考えが読まれたのかと焦る。

相手は、口元だけで笑うとぬるめのお茶を口に運んだ。



「うはは!ほな、お言葉に甘えようや、凛!これで怪我を気にせず戦えるのぅ!」

「なにと戦えって言うんですか!?僕の目的は、あくまで瑞希お兄ちゃんに告白することであって~」

「うははは!せやけど、アキナっちゅー姉ちゃんにロックオンされてるや~ん?シゲ先生、九條アキナっちゅー姉ちゃんは知ってはるんでっか!?」

「陽翔君の彼女だった子かな。」

「ご存じですか!?」

「陽翔君も、アキナちゃんも、他の子達もみんな私の患者だったよ。だから今回のことは・・・残念でならないね。」

「先生・・・」



視線を下に下げながら呟く姿に切なくなる。

同時に、気かずにはいれなかった。




「瑞希お兄ちゃん、悪くないですよね?」

「うん?」

「伊吹陽翔さんが死んだ原因だって、九條アキナは言いましたが・・・お兄ちゃん達だけが悪いわけじゃないですよね?」

「うん・・・。」



少し、考えるようなそぶりをしてから湯呑を机に置くご老人。