「蓮君の場合、今後も怪我をすることは多いかもね。その時は、遠慮しないで私を呼ぶか、たずねるかしなさい。時間に関わらず、呼んでいいからね?」
「あ・・・ありがとうございます。」
(とはいえ、さすがにご老人を呼び出すのはちょっと・・・)
「本当に、遠慮することはない。年寄りだからと、遠慮される方が困るからね?」
「え!?あ、ああああああ、はい!そうします!」
一瞬、自分の考えが読まれたのかと焦る。
相手は、口元だけで笑うとぬるめのお茶を口に運んだ。
「うはは!ほな、お言葉に甘えようや、凛!これで怪我を気にせず戦えるのぅ!」
「なにと戦えって言うんですか!?僕の目的は、あくまで瑞希お兄ちゃんに告白することであって~」
「うははは!せやけど、アキナっちゅー姉ちゃんにロックオンされてるや~ん?シゲ先生、九條アキナっちゅー姉ちゃんは知ってはるんでっか!?」
「陽翔君の彼女だった子かな。」
「ご存じですか!?」
「陽翔君も、アキナちゃんも、他の子達もみんな私の患者だったよ。だから今回のことは・・・残念でならないね。」
「先生・・・」
視線を下に下げながら呟く姿に切なくなる。
同時に、気かずにはいれなかった。
「瑞希お兄ちゃん、悪くないですよね?」
「うん?」
「伊吹陽翔さんが死んだ原因だって、九條アキナは言いましたが・・・お兄ちゃん達だけが悪いわけじゃないですよね?」
「うん・・・。」
少し、考えるようなそぶりをしてから湯呑を机に置くご老人。


