「それで本当に・・・気づかないのかい?」
「はい。気づいてません。」
そう言った時、シゲ先生と目が合う。
相手はなぜか、渋い顔をしていた。
いつもの変化のない表情ではなかった。
「シゲ先生?」
「蓮君、口を開けて歯を見せてくれるかね?」
「え?いいですけど・・・?」
私の足に包帯を巻いている途中だったが、素直に応じて口を開ける。
「大きく開けて。そうそう。今度は閉じて。いー、してみて。」
「いー。」
前歯を見せれば、フー・・・と息を吐いてからぼそりと言った。
「・・・・ありがとう。いいよ。」
「はい・・・?」
(何がしたかったんだろう??)
そう考えてる間に、慣れた手つきでシゲ先生は右足の包帯を巻き終える。
「はい、終わりだ。これでいいよ。」
「ありがとうございました。」
シゲ先生が道具を片付けるのに合わせ、私もズボンをはく。
「うははは!凛、入るでぇー!!」
手当てが終わるのを待っていたかのように、タイミングよくヤマトが入ってくる。
「うははは!おつかれ!オーダーの品の到着や!」
「ありがとう、ヤマト。」
「ヤマト君、ありがとう。」
用意してくれた飲み物を受け取りながらお礼を言う。
「うはは!ええよ、ええよ!凛、次はいつが診察日やねん!?」
「えーと、次は・・・」
「月末だね。詳細は、私から連絡をするよ。」
答えたのはシゲ先生。
「幸い傷は浅い。新学期までには包帯も取れるよ。」
「本当ですか!?よかった~」
「うははは!ホンマやなぁー!当たり所がよかったなぁ~凛!?」
「出来れば、当たりたくはなかったけどね。」
〔★怪我をしないのが一番良い★〕


