彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「それで本当に・・・気づかないのかい?」

「はい。気づいてません。」



そう言った時、シゲ先生と目が合う。

相手はなぜか、渋い顔をしていた。

いつもの変化のない表情ではなかった。



「シゲ先生?」

「蓮君、口を開けて歯を見せてくれるかね?」

「え?いいですけど・・・?」



私の足に包帯を巻いている途中だったが、素直に応じて口を開ける。



「大きく開けて。そうそう。今度は閉じて。いー、してみて。」

「いー。」



前歯を見せれば、フー・・・と息を吐いてからぼそりと言った。



「・・・・ありがとう。いいよ。」

「はい・・・?」


(何がしたかったんだろう??)



そう考えてる間に、慣れた手つきでシゲ先生は右足の包帯を巻き終える。



「はい、終わりだ。これでいいよ。」

「ありがとうございました。」



シゲ先生が道具を片付けるのに合わせ、私もズボンをはく。



「うははは!凛、入るでぇー!!」



手当てが終わるのを待っていたかのように、タイミングよくヤマトが入ってくる。



「うははは!おつかれ!オーダーの品の到着や!」

「ありがとう、ヤマト。」

「ヤマト君、ありがとう。」



用意してくれた飲み物を受け取りながらお礼を言う。



「うはは!ええよ、ええよ!凛、次はいつが診察日やねん!?」

「えーと、次は・・・」

「月末だね。詳細は、私から連絡をするよ。」



答えたのはシゲ先生。



「幸い傷は浅い。新学期までには包帯も取れるよ。」

「本当ですか!?よかった~」

「うははは!ホンマやなぁー!当たり所がよかったなぁ~凛!?」

「出来れば、当たりたくはなかったけどね。」



〔★怪我をしないのが一番良い★〕