彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「凛、やっぱり・・・」

「だ、大丈夫です!半分、顔を隠しながら見ますから・・・」



両手で目元を隠しながら画面を見る。



「頑張るな、凛たん・・・。」

「ふむ、根性はあるじゃないか。78点だな。」

「ああん!凛ちゃんのおびえる姿も可愛いわぁ~いつでも涙を拭けるように、モニカちゃんのタオルを貸してあげる♪」



そう言って差し出された時、画面の中で大量のゾンビが発生する。



《うおぉうおぉ!!》

《ごおおおおお!!》

《があああああああ!!》

「きゃああああ!」

「り、凛ちゃん!?」



とっさにタオルをつかみ、頭からかぶる。



「あううううう・・・!」

「わははは!こういう奴いたよなぁ~!頭から布団かぶりながら、ホラーもん見る奴!」



かぶったタオルの隙間から、片目だけで映像を見る。



「そうまでしてみなくていいだぞ、凛・・・?」

「うあああああ!ぼ、僕一人のせいで台無しには~!怖い、怖い!」



〔★すでに台無しだ★〕



CGか特殊メイクかわからないけど、おぞましいゾンビが画面の中で暴れまわる。

新鮮な肉を求めて、残りわずかな人間を食い殺していく。



「凛、無理しなくても・・・」

「僕のせいで上映を中止には~」

「あーわかった、わかった。よしよし。」



私を後ろから抱きしめると、優しく頭をなでててくれる瑞希お兄ちゃん。



「みーちゃんズルいわ~凛ちゃんを独り占めして~」

「あれは仕方なかろう。烈司、このDVDは確かは・・・?」

「ああ。一応、シリーズものなんだけどなぁ~凛たんに全部見せていいものか・・・」

「わはははは!本人がいいって言ってんだからいいだろう~!?」



そんな会話が聞こえたかもしれないけど、それどころじゃない。



(だれよ、ゾンビなんて考えたの!?フランケンシュタインでいいじゃないの!?なんで感染するのよ!?お肉食べれなくなるじゃないの!?)



《痛てぇよぉ!た、助け・・・!》

《ガウガウガウ!》

《ピチャ!ペチャ!ズズズ!》

《あー!!あああ!助けて!助・・・痛てぇ!ああぁ・・!》

《ガツ!ガツ!ガツ!》


「わははは!凛助ぇ~ケンタッキー食うかぁー!?」

「食べれませんよっ!」



生きたままゾンビの群れに食われてるシーンで、なんてこと言えるのよ!?

てか、なんで食べてるのよ!?



〔★軽い嫌がらせだ★〕