みな様には黙っていましたが、私、菅原凛こと凛道蓮は、ゾンビだけは怖いんです・・・!!
「凛、ホラーはダメなのか?」
「ホラーというか、ゾンビが苦手なんですぅ!」
「凛たんはゾンビがダメなのか・・・」
「気持ちはわかるわ~キモイもの。」
「龍星軍の頭がゾンビが怖いでは、格好がつかん。克服させねば。」
「わははは!やめろ、もったいねぇ!せっかくからかえる面白いネタをよぉ~!」
周りが何か言ってるけど耳に入って来ない。
聞えてくるのは、逃げ惑う人々の悲鳴とそんな人間に食らいつくゾンビの声。
《ゾンビが入ってきた!》
《上に逃げるんだ!》
《いやぁあ!置いて行かないで!!》
《ぐおおおお!!》
「ああああああ!!こっち来ないで―!」
「凛っ!?」
残酷なシーンを目にし、反射的に瑞希お兄ちゃんに抱き付く。
全身が震え、心臓の鼓動がすごく痛い。
「はわわわわ・・・・!」
「だ、大丈夫か、凛!?消すか!?」
「あ、わわわわ!だ、大丈夫です・・・僕1人のために協調性のないことは~」
「わはははは!じゃあ、音量あげようぜ。」
《た、助け・・・!痛ぁあああ!!うぎゃああああああああ!》
「ひゃあああああああああ!?」
餌になった人の悲鳴と、ぐちゃぐちゃベチャベチャというグロテスクな音が大きくなる。
それを見てしまった私の声も大きくなった。
「ふぇえええーん!」
恐怖から逃げるように瑞希お兄ちゃんの腕の中に潜り込む。
あぐらをかいている瑞希お兄ちゃんの中に、すっぽりと収まる身体。
「怖いよぉー!」
「そうだろうな・・・」
私の頭の上でそんな声がしたかもしれない。


