「なにすんだよ、烈司!?」

「うるせー無自覚でいちゃつきやがって。」

「意味わかんねぇし!」

「上映準備してんだよ、コラ!」

「あ、やっと始めるのか?楽しみだな、凛?」

「はい!烈司さん、なにを借りてきたんですか?」

「見てからのお楽しみさ、凛たん♪」

「れーちゃん、ハードボイル系が好きよね~?」

「ははは!今回は夏らしいもんにしたんだ。」

「わはははは!水着の姉ちゃんかっ!?アダルト系か!?」

「そんなもんを凛に見せられるかっ!?」

「再生すればわかることだ。早くしろ、烈司。」

「へいへい。」

「烈司、電気も消してくれ。」

「テメーがしろよ、瑞希!」

「凛がくっついてるから無理~」

「わっ!?」



茶化しながら私を抱き寄せる好きな人。



「しかたねぇな!」



それを見て呆れながら電気を消す烈司さん。

程なくして、大きな画面に映像が映る。



(わー・・・近い近い!瑞希お兄ちゃんとの距離が、近い!)



瑞希お兄ちゃんの隣で、彼に抱き寄せられる。



(こういうのもいいなぁ~)



好きな人の体温が気になって、DVDに集中できないかも。

でもいいんだ♪



「凛、ちゃんと見てるか?」

「み、見てますよ。」



耳元でささやかれ、ますますドキドキする。



(これでDVDがラブストーリーだったら、言うことはないんだけどなぁ~)



ワクワクしながらがテレビに集中する。

出前のピザをかじりながら見たのだが・・・



〈ぎゃあああああああああ!〉

「うわああああああああああ!!」

「凛!?」

「どうした、凛たん!?」

「凛ちゃん、しっかり!」

「凛道には刺激が強すぎたか?」

「わはははは!今の笑うとこだろうー?」

「どこに笑う要素がありますかぁぁぁ!!?」



烈司さんが借りてきたのは、怖いと評判のホラー映画。

それも・・・


《ガウガウガウァアアアァァァ―――――――!!》

「ああああ!死んでない!死なないよぉゾンビ!撃ったのに、生きてるよゾンビ!」

「いや、ゾンビだから死んでるぞ、凛。今のは頭を攻撃しなかったから、動いてるけど?」




かなりグロいゾンビ映画だった。



《ガウガウガ―――――――!!》

「ひゃああああああああ!?」



画面いっぱいに突然現れるゾンビに私の悲鳴が止まらない。



〔★凛はゾンビがダメだった★〕