彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「あれ?」

「あんだよ、凛!?どうしたんだ!?」

「凛さん、お早く!なにかありましたか!?」

「我が君っ!?なんかいたの!?」

「幽霊出ちゃった、リンリーン!?」

「い、いえ!・・・なんでもないですよ・・・」



言えない。



(クーラーのスイッチが入ってないなんて、言えない・・・)



〔★真昼の怪奇現象だ★〕



リモコンに、表示されるはずの数字が出ていない。

軽いリモコンをひっくり返して、裏のふたを開ければ、電池も入ってない。

つまり、幽・・・いや、リモコンで動かしてないだけなのよ!



(クーラー本体にあるON・OFFのスイッチで動いてるんだわ!)



そう思って近づいて、足が動かなくなった。



(コ、コンセント!クーラーのコンセントが入ってなーい!!?)



それなのに、冷気を発している電化製品。



〔★真昼の怪奇現象が確定した★〕



ガンガンに冷えてるけど、スイッチ入ってないんですけど!?

電池も電源も入ってないんですけど!?

この冷気、クーラーのじゃなかったの!?

そういう系の冷気なの!?

どうなの!?

みんなには黙っとくべきよね!?

てか、言えないよっ!!






ポン!

「大丈夫や。」

「ヤマト!?」






私の肩を叩きながら、陽気に彼は言った。




「よくあることや!」

「よ・・・・・・!?」




よくあることって・・・




「うはは!おかげで、電気代も安くてすむねん!エコにも優しい、ええ家やろう~♪」




そう言って、私からリモコンを取り上げてクッションへと投げるヤマト。

こういう性格だからこそ、ここに住めるんじゃないかと・・・私の肩を組む関西男子を見ながら思った。



〔★ヤマトが特殊なだけだ★〕