「あれ?」
「あんだよ、凛!?どうしたんだ!?」
「凛さん、お早く!なにかありましたか!?」
「我が君っ!?なんかいたの!?」
「幽霊出ちゃった、リンリーン!?」
「い、いえ!・・・なんでもないですよ・・・」
言えない。
(クーラーのスイッチが入ってないなんて、言えない・・・)
〔★真昼の怪奇現象だ★〕
リモコンに、表示されるはずの数字が出ていない。
軽いリモコンをひっくり返して、裏のふたを開ければ、電池も入ってない。
つまり、幽・・・いや、リモコンで動かしてないだけなのよ!
(クーラー本体にあるON・OFFのスイッチで動いてるんだわ!)
そう思って近づいて、足が動かなくなった。
(コ、コンセント!クーラーのコンセントが入ってなーい!!?)
それなのに、冷気を発している電化製品。
〔★真昼の怪奇現象が確定した★〕
ガンガンに冷えてるけど、スイッチ入ってないんですけど!?
電池も電源も入ってないんですけど!?
この冷気、クーラーのじゃなかったの!?
そういう系の冷気なの!?
どうなの!?
みんなには黙っとくべきよね!?
てか、言えないよっ!!
ポン!
「大丈夫や。」
「ヤマト!?」
私の肩を叩きながら、陽気に彼は言った。
「よくあることや!」
「よ・・・・・・!?」
よくあることって・・・
「うはは!おかげで、電気代も安くてすむねん!エコにも優しい、ええ家やろう~♪」
そう言って、私からリモコンを取り上げてクッションへと投げるヤマト。
こういう性格だからこそ、ここに住めるんじゃないかと・・・私の肩を組む関西男子を見ながら思った。
〔★ヤマトが特殊なだけだ★〕


