そんな私を「無欲だなぁ~!?」と言いながら会長は笑う。
「謙虚だね~!?本当に、暴走族の総長か!?まぁそこがいいんだがな!」
私が凛道蓮だと理解しても、会長さんは怒ることはなかった。
「お兄ちゃんのサナちゃんもそうだったからなー!わははは!さあ、牛串食べな!ラムネを飲みな!」
「い、頂きます・・・」
怒るどころか、変わることなく親切にしてくれる。
飲食を勧められ、瑞希お兄ちゃんと顔を見合わせながら食べる。
私のためにラムネの瓶の口を押し、ビー玉をはずしてからストローまでさしてから差し出してくれた。
それを受け取り、一口飲んだところで聞いた。
「なずなちゃん、どうなりました?」
「大丈夫だよ!しばらく入院して薬を抜くそうだ。」
「そうですか。」
「お姉ちゃんの美咲ちゃんも感謝してたぜ。なずなちゃんも、元気になったら会いに来るって言ってたぞ?チョコ君こと、凛道蓮君によろしくってな!」
「他の子はどうですか?」
「おじさんが知ってるのは、なずなちゃんだけかな?中には・・・ひどい中毒になってる子もいたみたいだが・・・チョコちゃんが気にすることじゃないぞ?」
「・・・ありがとうございます。」
ひどいというのは、坂口さんのことかもしれない。
あのまま坂口さんは、一度も塾に戻ることなくやめてしまった。
その後、家族で引っ越したらしいと、おしゃべりな有森さんが教えてくれたから。
仲良しだった猪口さんの悲しそうな顔が忘れられない。
「そう言えば、チョコちゃんのことを聞いて回ってる奴がいたんだ。」
「僕のことを、ですか?」
「どんなやつっすか!?」
会長さんの言葉に、私ではなく、瑞希お兄ちゃんが食いつく。
「ちょ、お兄ちゃん?」
「筋もんすか!?外人すか!?会長!?」
「お、落ち着けよ、サナちゃん!チョコちゃんが心配なのはわかるけどさー!?」
「そんな会長さんてば!僕が瑞希お兄ちゃんに愛されまくってるなんて・・・!」
「そこまで言ってはないけど、そんな気はするぞ、チョコちゃん!」
「言われてねぇけど、俺はそのつもりだぜ、凛!!」
〔★どちらも否定しなかった★〕


