彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




そんな私を「無欲だなぁ~!?」と言いながら会長は笑う。



「謙虚だね~!?本当に、暴走族の総長か!?まぁそこがいいんだがな!」



私が凛道蓮だと理解しても、会長さんは怒ることはなかった。



「お兄ちゃんのサナちゃんもそうだったからなー!わははは!さあ、牛串食べな!ラムネを飲みな!」

「い、頂きます・・・」



怒るどころか、変わることなく親切にしてくれる。

飲食を勧められ、瑞希お兄ちゃんと顔を見合わせながら食べる。

私のためにラムネの瓶の口を押し、ビー玉をはずしてからストローまでさしてから差し出してくれた。

それを受け取り、一口飲んだところで聞いた。



「なずなちゃん、どうなりました?」

「大丈夫だよ!しばらく入院して薬を抜くそうだ。」

「そうですか。」

「お姉ちゃんの美咲ちゃんも感謝してたぜ。なずなちゃんも、元気になったら会いに来るって言ってたぞ?チョコ君こと、凛道蓮君によろしくってな!」

「他の子はどうですか?」

「おじさんが知ってるのは、なずなちゃんだけかな?中には・・・ひどい中毒になってる子もいたみたいだが・・・チョコちゃんが気にすることじゃないぞ?」

「・・・ありがとうございます。」



ひどいというのは、坂口さんのことかもしれない。

あのまま坂口さんは、一度も塾に戻ることなくやめてしまった。

その後、家族で引っ越したらしいと、おしゃべりな有森さんが教えてくれたから。

仲良しだった猪口さんの悲しそうな顔が忘れられない。



「そう言えば、チョコちゃんのことを聞いて回ってる奴がいたんだ。」

「僕のことを、ですか?」

「どんなやつっすか!?」



会長さんの言葉に、私ではなく、瑞希お兄ちゃんが食いつく。



「ちょ、お兄ちゃん?」

「筋もんすか!?外人すか!?会長!?」

「お、落ち着けよ、サナちゃん!チョコちゃんが心配なのはわかるけどさー!?」

「そんな会長さんてば!僕が瑞希お兄ちゃんに愛されまくってるなんて・・・!」

「そこまで言ってはないけど、そんな気はするぞ、チョコちゃん!」

「言われてねぇけど、俺はそのつもりだぜ、凛!!」



〔★どちらも否定しなかった★〕