彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「凛。」

「りっ君。」

「仕事、手伝います・・・」

「え?いいわよ、凛ちゃん・・・」

「休んどけよ、凛たん。まだ時間あるし・・・」

「わはははは!仕方ねぇなぁ!小遣いやるから、買い食いして来い!」

「遊んでいろ、凛道。」

「いいです。また入隊希望の話をされたらたまりません。」

「凛・・・。」

「このドリンク、配達用ですか?」

「あ、ああ。会長がオーダー入れてくれて・・・」

「じゃあ、持って行きますね。」

「おい、凛!?」

「いってきます。」



テーブルに置かれたドリンクを持って、逃げるように屋台から離れた。




(最悪だ。)




よりによって、こんな日に渕上と会うなんて。



(気づかれるどころか、一緒に活動しましょうなんて・・・冗談じゃないわ。)



そんなこと言う前に、宿題返せ馬鹿野郎。

ヤマトが間に入ってくれたから、何とか誤魔化せたけど・・・




(・・・・・ヤマト・・・・)




なんで、あんな嘘を?

動揺する私をかばうために、凛道蓮に渕上のことを話したとか言ったの?

ヤマトの低い声、怖い声、初めて聞いた。

いつもは陽気な声なのに。

大声で叫ぶだけなのに・・・




「凛!!」



好きな人の声がした。



「瑞希お兄ちゃん・・・」



ふりければ、息を切らした彼がいた。



「エプロン、つけ忘れてるぞ?」

「え?」



言われて気づく。

休憩の時にはずしたエプロンをつけ忘れていたことに。



「ダメだろう?」

「すみません・・・!」

「つけてやるから。」



そう言って、道の端まで私を引っ張って行く。



「動くなよ?」



そう言うと、私の腰にエプロンをつける。



「大丈夫か?」

「はい、きつくないです・・・」

「そうじゃねぇよ。気持ちの方だよ。」

「え?」



顔を見れば、心配そうに私を見ていた。