本当に最悪だった。
輝夜姫の総長であり、いじめっ子である渕上ルノアとの会話は、私の気分をかき乱した。
「凛、大丈夫か?」
「りっ君、顔色悪いよ・・・?」
帰ると言ったが、お兄ちゃん達と車で来ている。
しかたないので、瑞希お兄ちゃん達のもとへ帰った。
「凛、何かあったのか?」
「どうした、凛たん?両手に花じゃんか?」
「やだぁー凛ちゃんしょぼくれフェイスじゃないの~?」
「なにごとだ?」
「わははは!もめごとかぁー!?」
「ちょっと、不愉快な気分になりまして・・・」
「渕上に会ったんすよ!」
右側にいたカンナさんが、気まずそうに報告する。
「あ?渕上ってあれか?」
途端に、瑞希お兄ちゃんの顔つきが悪くなる。
「凛、またなんか言われたんか?」
「だれよ、瑞希?」
「輝夜姫の馬鹿女だ。」
「わははは!瑞希を女と間違えたJKか!?」
「それプラス、凛道に値段をつけた馬鹿だ。」
「なにそれ!?説明しなさい、イオリン!」
「凛、渕上に会っただけでそんなにダメージ受けるか?」
「あ・・・。」
返事に困る。
どうしようかと思っていたら、
「わしがやらかしてしもーたんや。」
「ヤマト。」
私の代わりに関西男子が言った。
「あの女が何もんか、凛に話したねん。」
「あん?お前が、渕上のことを凛に話したって?」
「せやねん!瑞希はん。あの女・・・わしの学校の同級生でな。しかも、いじめのボスやねん。」
「ヤマト!!」
何を言うのかと叫ぶ。
「うはははは!凛、いじめとか嫌いやからー・・・胸糞悪かったんやろ?」
「・・・ああ。」
彼からの返事を聞き、少しだけクールダウンする。
「いじめは、大嫌いだよ。」
絞り出すように答える。
「だから凛さん、あんなに怒ったんですか?」
「チョーわかる!鬼ヤバっしょ!ガチムカ系じゃん!?」
「ぼっしーらしいです!さすが我が君!」
「凛君じゃなくても、いじめはあり得ないだろう。」
「つーか、輝夜姫は評判最悪だからな。凛道が切れてなきゃ俺が切れてた。」
「それは大河だけじゃねぇーよ。あんなクソチーム、死んでもごめんだね。」
「大丈夫なのか、凛?」
「りっ君、まだ、怒りが収まらない?」
「・・・平気ですよ。」
そう告げて、カンナさんとますみちゃんから離れる。


