彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




本当に最悪だった。

輝夜姫の総長であり、いじめっ子である渕上ルノアとの会話は、私の気分をかき乱した。



「凛、大丈夫か?」

「りっ君、顔色悪いよ・・・?」



帰ると言ったが、お兄ちゃん達と車で来ている。

しかたないので、瑞希お兄ちゃん達のもとへ帰った。




「凛、何かあったのか?」

「どうした、凛たん?両手に花じゃんか?」

「やだぁー凛ちゃんしょぼくれフェイスじゃないの~?」

「なにごとだ?」

「わははは!もめごとかぁー!?」

「ちょっと、不愉快な気分になりまして・・・」


「渕上に会ったんすよ!」




右側にいたカンナさんが、気まずそうに報告する。




「あ?渕上ってあれか?」




途端に、瑞希お兄ちゃんの顔つきが悪くなる。




「凛、またなんか言われたんか?」

「だれよ、瑞希?」

「輝夜姫の馬鹿女だ。」

「わははは!瑞希を女と間違えたJKか!?」

「それプラス、凛道に値段をつけた馬鹿だ。」

「なにそれ!?説明しなさい、イオリン!」

「凛、渕上に会っただけでそんなにダメージ受けるか?」

「あ・・・。」




返事に困る。

どうしようかと思っていたら、




「わしがやらかしてしもーたんや。」

「ヤマト。」




私の代わりに関西男子が言った。




「あの女が何もんか、凛に話したねん。」

「あん?お前が、渕上のことを凛に話したって?」

「せやねん!瑞希はん。あの女・・・わしの学校の同級生でな。しかも、いじめのボスやねん。」

「ヤマト!!」




何を言うのかと叫ぶ。



「うはははは!凛、いじめとか嫌いやからー・・・胸糞悪かったんやろ?」

「・・・ああ。」



彼からの返事を聞き、少しだけクールダウンする。





「いじめは、大嫌いだよ。」





絞り出すように答える。



「だから凛さん、あんなに怒ったんですか?」

「チョーわかる!鬼ヤバっしょ!ガチムカ系じゃん!?」

「ぼっしーらしいです!さすが我が君!」

「凛君じゃなくても、いじめはあり得ないだろう。」

「つーか、輝夜姫は評判最悪だからな。凛道が切れてなきゃ俺が切れてた。」

「それは大河だけじゃねぇーよ。あんなクソチーム、死んでもごめんだね。」

「大丈夫なのか、凛?」

「りっ君、まだ、怒りが収まらない?」

「・・・平気ですよ。」



そう告げて、カンナさんとますみちゃんから離れる。