彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「勝手ぬかしてんじゃねぇぞ、渕上!コントしてぇならよそいきな!」

「凛道さん。」



怒るカンナさんを無視して渕上は言った。



「うちも、龍星軍と同盟を組みたいと思ってるんですよ。」



(・・・・・・・はあ?)



同盟?

なに言ってるの?

冗談じゃないわよ。




(絶対にイヤ!!)




ただでさえ、学校で・・・菅原凛でも一緒なのに、凛道蓮でも顔合わせるなんて嫌。

今この場にいることさえ嫌。目の前にいることが嫌。



(てか、散々みんなが嫌って言ってるのに、聞えてないわけ?)



聞いてないの!?

どういう耳してるのよ、この女!?



「ねえ、返事してくださいよ?私の話・・・聞いてます?」



(それは私のセリフよ!あんたこそ、人の話聞いてるの!?)



「ねぇ、凛道さん・・・!」




甘ったるい声と顔で、渕上が近づく。

逃げようと思ったが、体が校長くして動かない。

閉じそうになる眼を必死に開けて、薄目をキープする。



「りっ君?」



心配そうにますみちゃんが腕を引っ張るが動けない。



(いやだ、いやだ、気持ち悪い!)



来ないでよ!



(あんたなんか大嫌い!)



顔も見たくないし、存在さえも消えてほしいぐらい憎いのに!



(どうして私に近寄ってくるの!)



消えろ!消えろ!キライ!キライ!!





(どっか行っ――――――――・・・・!!)

「話なら、わしが聞くで?」





そんな声が前から響く。



「わ!?」

「なっ!?」



続けざまに、渕上とカンナさんが同時に声を上げる。




(ヤマト!?)




2人の間に、関西男子が割って入っていた。

私の目の前に立ってくれたおかげで、視界から渕上の姿が消えた。