彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「凛、わからねぇのか?」

「カンナさんはわかるんですか?」

「おう・・・凛に会う前に、別口が来たからな。」

「別口?」



私の問いに、一言間を置いてから言った。




「龍星軍に入りたいって連中だよ。」

「え!?」




(龍星軍に入りたいって・・・)




「困りますよ。募集かけてないし、定員もいっぱいだし。」

「うはははは!凛の上限は小さいなぁー!」

「なに言ってんだ!伝統のある龍星軍が、そんな安売りできるかよ!」

「そういう問題じゃねぇだろう!いいですか、凛さん・・・」



ヤマトが笑い、円城寺君が怒る。

それに呆れながら、可児君が説明してくれた。



「弁才天と同盟を組んだのを知って、自分達もという連中が龍星軍に群がってるんですよ。」

「群がる!?初耳なんですけど?」

「お見苦しいと思い、凛さんのお耳に入れるのを控えていました。」

「じゃあ、僕以外は知ってたんですか?」

「すみません。」

「いえ、謝らないでください。僕を思ってしてくれたことでしょうから。」

「凛さん。」

「やっぱり、凛は他の男とは違うな~」

「うはははは!当然やで!なあ、凛!?」

「わかったから、ヤマトはそれ以上しゃべらないでくださいね。しかし、困りましたね・・・」



今いるメンバーだけで十分だし、たくさんいて良いものだと思ってない。



(というか、これ以上、変な人が増えても困るからなー・・・)



〔★凛もその1人★〕



難しい顔で黙る総長を察してか、副総長が声をかける。



「凛さん、同盟の申し込みの件、俺の方で何とかします。」

「可児君。」

「ただでさえ凛さん、『女』の件があるでしょう・・・」

「・・・ああ。」



可児君が言う女というのは、九條アキナのこと。

伊吹陽翔さんのお墓に備えられた花の意味を、直接初代メンバーから聞いた唯一の相手。

それを彼は気にしていた。

可児君には口止めをしたが、今のところ、ヤマトにだけは話てある。

心配をかける人間は最小限の方が良い。