「ば、大丈夫だよ、ばか!」
「遠慮しないでください。いつも支えてもらってるんですから。こういう時ぐらい、身を任せて下さいね。」
赤くなっているカンナさんの手を取って引き寄せる。
「お、おい!?」
「もたれていいですから。さあ、座れる場所を探しましょう。」
ますみちゃんみたいにくっついて来ないので、にぎっていた手を離して腰へと回る。
支えるなら、こうした方が良いわ。
「りっ、りっ君~~~~~!?」
「・・・・・・テメーは・・・・・」
「はい?」
何か言いたそうな両脇の女子達。
しかし彼女達は、何も言わなかった。
無言でますみちゃんは私の腰に巻きつき、カンナさんも黙って私の体にもたれかかってきただけだった。
「なんだよあれ・・・!?」
「りんどーの奴!!カンナの腰に!!馴れ馴れしくぅ~!!」
「お前、もっと頑張らないとだめだな、悠斗?」
「てか、座れそうなとこ、早く見つけないと別の修羅場が発生する系~?」
「ぼっしーは、女性に優しいですからね~」
「そこが凛さんの良いとこなんだが・・・あれじゃ、硬派ではなく、軟派になってしまう・・・!それってどうなんだ・・・!?」
「うはははは!凛は無自覚やさかい、しゃーないわ!最強の天然たらしや!うはははははは!」
私達の後ろを歩く彼らが、そんなことをしゃべってるとは知らず、レディーファーストを続けた私。
カンナさんとますみちゃんの足を気にしつつも、大好きなお兄ちゃんが作ってくれたドリンクの心配をするので精いっぱいだった。


