彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




飲み物を飲んで静かになると思ったけど、世の中そんなにうまくいかない。



「真面目ちゃん、可愛いね~ヘアピンが!」

「あ・・・ありがとうございます。」

「すっごくいいよぉ~!やっぱり買うなら、似合う似合わないは別にして、可愛いのを選んじゃうよね?」

「ますみちゃん!似合ってるのにそんなこと言わないで下さい!」

「え~?可愛いって褒めてるけどぉ?」



いじるネタを見つけたと言わんばかりに、褒め続けるますみちゃん。



「ねぇねぇ!そのヘアピンは、どこで買ったのぉ~?」

「これは・・・」

「ますみも、買いに行きたいんだけど?」

「私には、わかりませんから。」

「あ、パパに買ってもらったの~?お父さんは娘に甘いもんねぇ~」

「・・・父じゃないです。」

「じゃあ、友達からのプレゼント?」

「はい!凛君にお土産でもらったんです・・・!」

「はあ?」



涼子ちゃんがそう言った途端、ますみちゃんから笑顔が消える。



「そのヘアピンだったの!?りっ君があげたのは!?」

「え?」



ますみちゃんの言葉に、驚く涼子ちゃん。

なんで知ってるの?と言う顔をしていた。

私も一瞬、なぜ!?と思ったけど―――――



(・・・・そうだった!涼子ちゃんとの電話の騒ぎで、話したんだった。)



あの時のことを思い出して納得する。

しかし現状は、ぼんやりと考えている場合ではなかった。



「はずしなさいよ!」

「えっ!?」

「ますみちゃん!?」



カンナさんの時のように、下駄を鳴らしながら涼子ちゃんに近づくミス・桃山女学院。

涼子ちゃんの髪へ、ヘアピンへと手を伸ばしながらますみちゃんは叫ぶ。



「ヘアピンはずして!大人しい顔して、図々しいのよ!」

「きゃあ!?」

「涼子!」

「やめなさい、ますみちゃん!」



涼子ちゃんにつかみかるますみちゃん。

そんなますみちゃんを私が引きはがし、佐藤さんが涼子ちゃんをかばう。