飲み物を飲んで静かになると思ったけど、世の中そんなにうまくいかない。
「真面目ちゃん、可愛いね~ヘアピンが!」
「あ・・・ありがとうございます。」
「すっごくいいよぉ~!やっぱり買うなら、似合う似合わないは別にして、可愛いのを選んじゃうよね?」
「ますみちゃん!似合ってるのにそんなこと言わないで下さい!」
「え~?可愛いって褒めてるけどぉ?」
いじるネタを見つけたと言わんばかりに、褒め続けるますみちゃん。
「ねぇねぇ!そのヘアピンは、どこで買ったのぉ~?」
「これは・・・」
「ますみも、買いに行きたいんだけど?」
「私には、わかりませんから。」
「あ、パパに買ってもらったの~?お父さんは娘に甘いもんねぇ~」
「・・・父じゃないです。」
「じゃあ、友達からのプレゼント?」
「はい!凛君にお土産でもらったんです・・・!」
「はあ?」
涼子ちゃんがそう言った途端、ますみちゃんから笑顔が消える。
「そのヘアピンだったの!?りっ君があげたのは!?」
「え?」
ますみちゃんの言葉に、驚く涼子ちゃん。
なんで知ってるの?と言う顔をしていた。
私も一瞬、なぜ!?と思ったけど―――――
(・・・・そうだった!涼子ちゃんとの電話の騒ぎで、話したんだった。)
あの時のことを思い出して納得する。
しかし現状は、ぼんやりと考えている場合ではなかった。
「はずしなさいよ!」
「えっ!?」
「ますみちゃん!?」
カンナさんの時のように、下駄を鳴らしながら涼子ちゃんに近づくミス・桃山女学院。
涼子ちゃんの髪へ、ヘアピンへと手を伸ばしながらますみちゃんは叫ぶ。
「ヘアピンはずして!大人しい顔して、図々しいのよ!」
「きゃあ!?」
「涼子!」
「やめなさい、ますみちゃん!」
涼子ちゃんにつかみかるますみちゃん。
そんなますみちゃんを私が引きはがし、佐藤さんが涼子ちゃんをかばう。


