「だったら、あいさつしなきゃだめよね~?はじめまして、涼子ちゃーん!私ぃ~りっ君の正妻候補の一之瀬ますみでーす!」
「「正妻候補!?」」
「ますみちゃん、嘘を教えないでください!」
ギョッとする涼子ちゃんと佐藤さんに、慌ててますみちゃんへ訂正を持ちかけるが―――
「そうでしょ、りっ君?ますみ、ずっと立候補してるじゃなーい?」
「立候補されても、当選はさせられませんから!」
「でもでも、仲良しなのよね~?お友達だもんね~?」
「それはそうですけどー」
「よろしくね、真面目ちゃん?」
私の腕にくっつきながら笑顔で告げるますみちゃん。
これに涼子ちゃんは気まずそうに返事をする。
微妙な空気が流れる。
「おーい、キャラメルコーヒー2つできたけど?」
ナイスタイミングで、瑞希お兄ちゃんが流れを変えてくれた。
ドリンク2つを差し出してくれる。
「あ、すみません!」
それを受け取り、涼子ちゃん達に渡した。
「お待たせしました、どうぞ。」
「ありがとう・・・」
「どーも。じゃあ涼子、帰ろうか?」
気を利かせた佐藤さんが、引き上げようとしてくれたけど・・・
ガシッ!
「待ってよ。」
「え?」
涼子ちゃんの腕をつかんで、引き止めるますみちゃん。
「ますみの分が来るまで、少しお話しましょう、涼子ちゃん♪凛君、ますみには、カフェ・デ・マーブルをよろしくね!」
「ええ!?」
帰らせてあげないの!?
(てか、なにを話す気!?)
初対面のはずなのに、ますみちゃんと涼子ちゃんの距離は近い。
ますみちゃんの方から、涼子ちゃんに迫っている感じだった。


