彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「だったら、あいさつしなきゃだめよね~?はじめまして、涼子ちゃーん!私ぃ~りっ君の正妻候補の一之瀬ますみでーす!」

「「正妻候補!?」」

「ますみちゃん、嘘を教えないでください!」



ギョッとする涼子ちゃんと佐藤さんに、慌ててますみちゃんへ訂正を持ちかけるが―――



「そうでしょ、りっ君?ますみ、ずっと立候補してるじゃなーい?」

「立候補されても、当選はさせられませんから!」

「でもでも、仲良しなのよね~?お友達だもんね~?」

「それはそうですけどー」

「よろしくね、真面目ちゃん?」



私の腕にくっつきながら笑顔で告げるますみちゃん。

これに涼子ちゃんは気まずそうに返事をする。

微妙な空気が流れる。



「おーい、キャラメルコーヒー2つできたけど?」



ナイスタイミングで、瑞希お兄ちゃんが流れを変えてくれた。

ドリンク2つを差し出してくれる。



「あ、すみません!」



それを受け取り、涼子ちゃん達に渡した。



「お待たせしました、どうぞ。」

「ありがとう・・・」

「どーも。じゃあ涼子、帰ろうか?」



気を利かせた佐藤さんが、引き上げようとしてくれたけど・・・



ガシッ!

「待ってよ。」

「え?」



涼子ちゃんの腕をつかんで、引き止めるますみちゃん。



「ますみの分が来るまで、少しお話しましょう、涼子ちゃん♪凛君、ますみには、カフェ・デ・マーブルをよろしくね!」

「ええ!?」


帰らせてあげないの!?

(てか、なにを話す気!?)



初対面のはずなのに、ますみちゃんと涼子ちゃんの距離は近い。

ますみちゃんの方から、涼子ちゃんに迫っている感じだった。