彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「りっくーん!!」



そこへ新たな人間が追加される。



「来ちゃったぁ~!」

「ますみちゃん!?」



声がする方を見れば、ピンクの丈の短い浴衣を着たますみちゃんがいた。



「りっ君に会うために、コーヒー買いに来たよぉ~!」



そう言うなり、私の体に抱き付いてくる。



「ちょ、ちょっと!?」



これでは、オーダーが取れない。



〔★軽い営業妨害だ★〕



「おいおい、今度は一之瀬妹か。」

「き~!あたしの凛ちゃんに抱き付いて!」

「こりゃあ、修羅場だな。」

「見る分には楽しめる。」

「わはははは!」

「なに言ってんですか、みなさん!?」



助けてくれるわけでもなく、私達を鑑賞するお兄ちゃん達。



「会いたかった~!好き好き、りっく・・・ん?」



私に抱き付いてきたますみちゃんの視線が、私の手元に移る。

表情が変わる。



「・・・なにしてんの?」

「え?なにって、接客で・・・」

「手をにぎり合うのも接客なの・・・!?」



私に抱き付く力が強くなる。



「ちょ、ますみちゃん、痛い痛・・・!」

「だれ、この子?」



ジロッと涼子ちゃんを見ながら、冷たい声で聞いてくるますみちゃん。



「りっくんと手をにぎってる子は誰!?名前は!?」

「あ、彼女達は僕の大事な友達の小林涼子ちゃん。そのとなりにいる子はー」

「小林涼子!?」



佐藤さんの紹介をする前に、聞くことなく、涼子ちゃんに食いつくミス・桃山女学院。



「小林涼子・・・っていうの?」

「は、はい。はじめまして。」



涼子ちゃんが挨拶すれば、ますみちゃんの目つきが変わる。



「あなた・・・・前に、りっ君と電話してた子・・・?」

「え?電話、ですか?」

「したわよね?」

「え、ええ。」



助けを求めるように、涼子ちゃんが私を見たので言った。



「電話ならしてます。よく話しますから。」

「り、凛君!」

「へぇー・・・この子が・・・・!」



ギョッとする涼子ちゃんと、ニヤリと笑うますみちゃん。




「りっ君、こういう子がいいんだぁ・・・!?」




嫌な予感がする。

私の中の女性の勘が、今のますみちゃんは危険だと知らせるが遅かった。

プルンとしたますみちゃんのピンクの唇が動く。