「りっくーん!!」
そこへ新たな人間が追加される。
「来ちゃったぁ~!」
「ますみちゃん!?」
声がする方を見れば、ピンクの丈の短い浴衣を着たますみちゃんがいた。
「りっ君に会うために、コーヒー買いに来たよぉ~!」
そう言うなり、私の体に抱き付いてくる。
「ちょ、ちょっと!?」
これでは、オーダーが取れない。
〔★軽い営業妨害だ★〕
「おいおい、今度は一之瀬妹か。」
「き~!あたしの凛ちゃんに抱き付いて!」
「こりゃあ、修羅場だな。」
「見る分には楽しめる。」
「わはははは!」
「なに言ってんですか、みなさん!?」
助けてくれるわけでもなく、私達を鑑賞するお兄ちゃん達。
「会いたかった~!好き好き、りっく・・・ん?」
私に抱き付いてきたますみちゃんの視線が、私の手元に移る。
表情が変わる。
「・・・なにしてんの?」
「え?なにって、接客で・・・」
「手をにぎり合うのも接客なの・・・!?」
私に抱き付く力が強くなる。
「ちょ、ますみちゃん、痛い痛・・・!」
「だれ、この子?」
ジロッと涼子ちゃんを見ながら、冷たい声で聞いてくるますみちゃん。
「りっくんと手をにぎってる子は誰!?名前は!?」
「あ、彼女達は僕の大事な友達の小林涼子ちゃん。そのとなりにいる子はー」
「小林涼子!?」
佐藤さんの紹介をする前に、聞くことなく、涼子ちゃんに食いつくミス・桃山女学院。
「小林涼子・・・っていうの?」
「は、はい。はじめまして。」
涼子ちゃんが挨拶すれば、ますみちゃんの目つきが変わる。
「あなた・・・・前に、りっ君と電話してた子・・・?」
「え?電話、ですか?」
「したわよね?」
「え、ええ。」
助けを求めるように、涼子ちゃんが私を見たので言った。
「電話ならしてます。よく話しますから。」
「り、凛君!」
「へぇー・・・この子が・・・・!」
ギョッとする涼子ちゃんと、ニヤリと笑うますみちゃん。
「りっ君、こういう子がいいんだぁ・・・!?」
嫌な予感がする。
私の中の女性の勘が、今のますみちゃんは危険だと知らせるが遅かった。
プルンとしたますみちゃんのピンクの唇が動く。


