彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




すぐさま、バイク急停止するミクお姉さん。

止まったと同時に、私はバイクから飛び降りた。




「凛・・・じゃなくて、蓮君!?」

「早く女の子達を助けないと!」




目の前で起きた事故に、戸惑いつつも現場に向かう。

そして、近くまで駆け寄って気がつく。





「ウェイウェイウェイ・・・・♪」

「あ!?」





ツッコんだバイクに、まだ人が乗っていた。

それもよく知ってる人物。




「ちーちゃん!?」

「ヤッホー、リンリン♪」



〔★チャラオが現れた★〕



私が見たのは、ちーちゃんだけどちーちゃんじゃない。

口調はご機嫌だけど、顔は笑っていない。

JAGUARの総長として恐れられた幡随院長政の顔をした友達がいた。

彼は私に笑顔を見せると、軽やかにバイクから降りる。




「こんのアホはよぉ~」

メキメキ!




車からバイクを引き離す。




ガッシャーン!




金属音とはじけるパーツがあたりに散乱する。

ちーちゃんは手を伸ばすと、助手席からそいつを引きずりだした。



「た、助けてっ・・・・!!」

「久しぶりだな、黒木?」



道路にたたきつける・・・というか、勝手に転がり落ちたMESSIAHのボスに言った。



「俺の前で、売春と薬はしないって誓ったよな・・・!?」

「たす、助けてくれ!足、折れて・・・」

「日本語通じねぇーのな?」



そう言った彼は、手を振り下ろしていた。

その手には、竹刀が握られており・・・




ヒュン!!

バキ!!

「ぎゃあああああああああ!!」





ためならいなく、黒木へと叩きつけられた。




「俺の目の黒いうちは、勝手はさせねぇーんだよ・・・クズがっ・・・!!」

「ちーちゃん・・・・」

(こっわいな・・・)




チャラい姿を見慣れているだけに、真面目に怒る彼は迫力があった。

これにより、にぎやかなはずの交差点が静かになる。

お葬式よりも静かな気がした。



〔★サイレント・ナイトになった★〕