「僕にナビを知ろと言いましたが、完全に見失っていますが・・・」
「平気よ!」
フンと鼻を鳴らしながらミクお姉さんは言った。
「あれは蓮君を連れ出すための口実よ!」
「口実!?」
「私の目の届くところにいないと、心配で仕事にならないのよ!」
「え!?そ、それって・・・」
(そこまで私を思って下さってるんですか、瑞希お兄ちゃん!?)
〔★普通に言葉通りの意味だ★〕
「とにかく、このまま黒木を追うわ!スピード出すから、振り落とされないようにしてね!?」
「え!?スピードは落とした方が良いんじゃないですか!?車のナンバーがわかるとはいえ、夜に目視(もくし)で確認するのはちょっと~」
「その必要はないわ!奴らがどこにいるか、わかってるから!」
「え!?」
「黒木はどっちに行った?」
〈そのまま直進でよろしく!〉
瑞希お兄ちゃんの声に答えるように、かすかに聞こえた烈司さんの声。
それで、ミクお姉さんの耳にイヤホンがついていることに気づく。
(携帯のイヤホンで、烈司さんと通話してるんだ!烈司さんから直接指示をもらいながら、追跡しているのね!?)
「あの、ミクお姉さん・・・!」
「黙って!お客さんが来たみたいだから。」
「お客さん?」
ファンファンファンファン!
「げ!?」
相手は警察だった。
背後から迫るパトカーが、こちらへと呼びかけてくる。
《前の二人乗りのバイク、止まりなさい!》
「えー!?僕らじゃなくて、追いかけるべき相手がいるでしょう!?MESSIAHとか!」
「くそ!ヘルメット被ればよかったわ・・・」
ノーヘルで飛ばしたこともあり、すぐに警察がマークしてくれた。
しかし、バイクを運転してるのは女装していても瑞希お兄ちゃん。
ババババババババ!
「わっ!?」
迫っていたパトカーを、あっという間に引き離した。


