「来てくれるわね?」
そんな顔で言われたら、断る理由はない。
「わかりました!」
「行かないで!」
好きな人の後ろに乗ろうとしたら、引き止められた。
「行くな、蓮!側にいてよ!1人にすんなよ!」
(ちあき??)
どういう心境の変化か知らないけど、弱々しく言う姿に別人かと思ってしまう。
精神的にパニックを起こしてるのかもしれないけど、私がとる行動は決まっていた。
「ごめんね。」
できるだけ優しい口調で、強引に引き離す。
「そういうセリフは、もっと優しい奴に使いな。ちあきなら、もっとカッコいいこと言えるよな?」
「え!?」
「お前みたいな悪い女が、やられっぱなしなわけないだろう?けど・・・そういう可愛いこと言われるのも悪くなかったぜ?」
「ま・・・待ってよ!」
まだ何かあるのかと思い、相手を見る。
これにちあきという女は、真っ赤な顔で叫んだ。
「あいつらを・・・・黒木を、ぶっ飛ばしてくれ!あたしの分まで!!」
「わかりました。」
ニッコリ笑顔で答えてから、瑞希お兄ちゃんの後ろに飛び乗った。
「お願いします。」
「・・・・しっかり、つかまってなさい。」
ババババババババ
私の言葉を合図に、爆音あげて走り出すバイク。
ミラー越しに後ろを見れば、小さくなっていく悪女が見えた。
第一印象は最悪だったけど、最後がよかったのでよしとした。
「大したプレーボーイね?」
「週刊雑誌がどうかしましたか?」
「あんたのことよ!龍星軍に彼女がいるんじゃないの!?あんなことしていいわけ!?」
「僕に彼女はいないです。それより、お店の方はどうなりました?抜けてきて、平気なんですか?」
「大丈夫よ!ホームレスのおっさん達が現れて、頑張ってくれてるからね!」
「黒子ファイブは?」
「現場をホームレスに任せて、とっくに撤収したわよ。」
「よかった・・・」
「よくないわよ!あのホームレス達は、あなたの差し金なのかしら、蓮君!?」
「逃がさないようにしてくれとは頼みました。それよりも―――――!」
正面を見ながら聞いた。


