彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「来てくれるわね?」



そんな顔で言われたら、断る理由はない。





「わかりました!」

「行かないで!」





好きな人の後ろに乗ろうとしたら、引き止められた。



「行くな、蓮!側にいてよ!1人にすんなよ!」

(ちあき??)



どういう心境の変化か知らないけど、弱々しく言う姿に別人かと思ってしまう。

精神的にパニックを起こしてるのかもしれないけど、私がとる行動は決まっていた。



「ごめんね。」



できるだけ優しい口調で、強引に引き離す。



「そういうセリフは、もっと優しい奴に使いな。ちあきなら、もっとカッコいいこと言えるよな?」

「え!?」

「お前みたいな悪い女が、やられっぱなしなわけないだろう?けど・・・そういう可愛いこと言われるのも悪くなかったぜ?」

「ま・・・待ってよ!」


まだ何かあるのかと思い、相手を見る。

これにちあきという女は、真っ赤な顔で叫んだ。



「あいつらを・・・・黒木を、ぶっ飛ばしてくれ!あたしの分まで!!」

「わかりました。」



ニッコリ笑顔で答えてから、瑞希お兄ちゃんの後ろに飛び乗った。




「お願いします。」

「・・・・しっかり、つかまってなさい。」



ババババババババ



私の言葉を合図に、爆音あげて走り出すバイク。

ミラー越しに後ろを見れば、小さくなっていく悪女が見えた。

第一印象は最悪だったけど、最後がよかったのでよしとした。



「大したプレーボーイね?」

「週刊雑誌がどうかしましたか?」

「あんたのことよ!龍星軍に彼女がいるんじゃないの!?あんなことしていいわけ!?」

「僕に彼女はいないです。それより、お店の方はどうなりました?抜けてきて、平気なんですか?」

「大丈夫よ!ホームレスのおっさん達が現れて、頑張ってくれてるからね!」

「黒子ファイブは?」

「現場をホームレスに任せて、とっくに撤収したわよ。」

「よかった・・・」

「よくないわよ!あのホームレス達は、あなたの差し金なのかしら、蓮君!?」

「逃がさないようにしてくれとは頼みました。それよりも―――――!」



正面を見ながら聞いた。