彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「ひどい奴ですね・・・あなたを、女の子を残して逃げるなんて。」

「・・・女も一緒だよ。」

「え?」

「見えなかったのか?あたし以外にも、女が乗ってただろう?黒木は、あいつらは・・・車の女達と逃げたんだ。」

「車の女?」

「そうだよ!あいつら、あたしらみたいにお店に出す女達とは別に、車で営業に出す女たちがいるんだよ!」

「車で営業してんですか!?」

「そう!道でお客さんに声かけて、車の中にいる女を選ばせて・・・気に入ったら、そのままホテルに運んで回収する・・・。車なら、移動も便利だからって・・・」



ポケットから携帯を出して電源を入れる。



「おい!電池切れじゃなかったのか!?嘘だったのか!?」

「記憶にございません。」

「どこの政治家だよ!?」

「僕はヤンキーです。」



画面タッチをしながらあしらう。

車のナンバーをLINEで一括送信する。



「なにしたんだよ!?サツか!?」

「いいえ。おまわりさんよりも怖い仲間に通報です。追跡してもらうように、非常線はりました。」

「マジかよ・・・・!?」


そう説明した時だった。




バババババババ!





先ほどとは違うエンジン音が響く。




「凛っ!」

「あなたは!?」

(瑞希お兄ちゃん!!)

「ミクお姉さん!!」




黒の単車にまたがった美人が、さっそうと現れた。



「り・・・・蓮君、無事!?」



私を蓮と呼び直しながら、バイクを横づけするお姉さん。



「ご覧の通りです。」

「よかった!奴らはどっちに行った!?」

「あっちです。」



黒木達が消えて言った方向を指させば、勇ましい声で言った。




「乗れっ!」



ババババババババババ!!



エンジンをふかしながら、後ろに乗るように指示してくる。




「ナビしてくれ!」




瑞希お兄ちゃんがまたがってるのは、いつものバイクではなかった。

だけど、ミクお姉さんの引き立て役にはピッタリの単車だった。