「・・・あの・・・?」
(助けてくれたの・・・?)
「あ・・・・ありがとうございました・・・」
「・・・。」
お礼を言えば、相手は無言で私から手をはなす。
「わっ!?」
「きゃ!?」
そのおかげで、私は女の子の上に落ちる。
ギュワワワワン!
同時に、バイクが方向転換した。
「あ、待って下さい!」
ちあきにしがみつかれた状態で身を起こす。
その時には、バイクは走り去っていた。
(今のって・・・・)
どこかで見たことがある。
見覚えがある。
あのフルヘルメット・・・
(私を火事場から救ってくれた人と同じ・・・?)
「てか、ご本人・・・??」
「うわーん!」
私の思案は、泣き声で中断される。
「あ、大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃねぇーよ!死ぬかと思った!」
「生きてるから平気ですよ。」
「黒木あの野郎!あたしを捨てゴマにしやがった!」
「そういうやつだとわかって、よかったじゃないですか?よしよし、泣かないでください・・・」
「なんで・・・」
「はい?」
「なんで・・・優しくすんだよ・・・」
「え?怪我してるじゃないですか?」
「お前の方がボロボロじゃんか!?あ、あたしをかばったから・・・!」
「君は、女の子ですからね。」
「なんなんだよそれ・・・!?マジで、凛道蓮だ・・・。」
「そうです。他にいるかは知りませんが。」
「なんだよ、それ・・・!?」
「できれば・・・・・これに懲りて売春、やめて下さいね?」
ギュッと抱きしめれば、痛いぐらいに抱き返してきた。
「お、おい、大丈夫か!?」
私達を引きかけた、車の運転手が駆け寄ってくる。
「すみません、救急車と警察を呼んでもらえますか?」
「あ、ああ。」
「あと、上着かタオルがあれば、貸してもらえませんか?彼女の顔を隠したいので。」
「え?」
「野次馬が撮影を始めてます。」
それで運転手が、車からタオルを持ってきてくれた。
頭にかぶせれば、素直に顔を隠した。


