彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「・・・あの・・・?」

(助けてくれたの・・・?)

「あ・・・・ありがとうございました・・・」

「・・・。」




お礼を言えば、相手は無言で私から手をはなす。



「わっ!?」

「きゃ!?」



そのおかげで、私は女の子の上に落ちる。





ギュワワワワン!





同時に、バイクが方向転換した。




「あ、待って下さい!」




ちあきにしがみつかれた状態で身を起こす。

その時には、バイクは走り去っていた。



(今のって・・・・)



どこかで見たことがある。

見覚えがある。

あのフルヘルメット・・・




(私を火事場から救ってくれた人と同じ・・・?)




「てか、ご本人・・・??」

「うわーん!」




私の思案は、泣き声で中断される。



「あ、大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃねぇーよ!死ぬかと思った!」

「生きてるから平気ですよ。」

「黒木あの野郎!あたしを捨てゴマにしやがった!」

「そういうやつだとわかって、よかったじゃないですか?よしよし、泣かないでください・・・」

「なんで・・・」

「はい?」

「なんで・・・優しくすんだよ・・・」

「え?怪我してるじゃないですか?」

「お前の方がボロボロじゃんか!?あ、あたしをかばったから・・・!」

「君は、女の子ですからね。」

「なんなんだよそれ・・・!?マジで、凛道蓮だ・・・。」

「そうです。他にいるかは知りませんが。」

「なんだよ、それ・・・!?」

「できれば・・・・・これに懲りて売春、やめて下さいね?」



ギュッと抱きしめれば、痛いぐらいに抱き返してきた。



「お、おい、大丈夫か!?」



私達を引きかけた、車の運転手が駆け寄ってくる。



「すみません、救急車と警察を呼んでもらえますか?」

「あ、ああ。」

「あと、上着かタオルがあれば、貸してもらえませんか?彼女の顔を隠したいので。」

「え?」

「野次馬が撮影を始めてます。」



それで運転手が、車からタオルを持ってきてくれた。

頭にかぶせれば、素直に顔を隠した。