「凛たん、黒木はどこだ!?」
「え!?」
逃げ腰の敵と戦っていた烈司さんが聞いてきた。
それで思い出す。
一番逃がしていけない敵のことを。
そいつがいた場所を見るが――――――――
「いない!?さっきまで、その辺にいたんですが~」
「なにしてる、凛道!?見失ったのか、馬鹿者め!」
「す、すみません!」
獅子島さんの罵声を受け、大慌てで辺りを見渡す。
ナンパなロン毛を探す。
「蓮君!あそこ!黒木よ!」
「え!?」
私の背中を叩きながら、なずなちゃんが声を張り上げる。
彼女が指さす先を見れば、ステージの裏に消えていく黒木が見えた。
(いた!!)
「あの野郎~!!待てっ!!」
「凛ちゃん!?」
「凛たん!」
「凛道!」
「みなさん、この場はお願いします!なずなちゃん達をよろしくです!」
「蓮君!」
なずなちゃんの声を背に走る。
黒木達を追いかければ、非常口らしい扉が開けっ放しになっていた。
ここから外に出たのね!?
(逃がさないわよ!)
数段飛ばしで駆け下りる。
「どけよ!テメーら!」
「邪魔なんだよっ!
「ひき殺すぞコラ!」
「クソゴミ共が!」
地上に降りた時、そんな言いあいが聞こえた。
声のする方を見て叫んだ。
「丸山さん!?」
見れば、ホームレスの人達が、1台の車を取り囲んでいた。
それは私をここまで乗せてきた車で、包囲する集団の中に丸山さんを含む顔見知り達がいた。
人の隙間から、助手席に乗っている黒木が見えた。
どうやら、丸山さん達が足止めしてくれていたようだ。
〔★ホームレス部隊が現れた★〕


