彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「きゃあー!」

「なずなちゃん!」

「させっか!」



なずなちゃんに伸びた手を、体を、美しい人がぶん投げる。



「みず・・・ミクお姉さん!」

「蓮君、こっちは任せなさい!」



なずなちゃんをかばいながら言う頼もしいお方。



「ミクテメー!?凛道の仲間だったのか!?」

「あら、女は強い男に惹かれるものよ?」



唇をかみしめる黒木に言えば、相手はますます顔をゆがめた。



「クソ女!絶対逃がさないから!おもちゃにしてやる!」

「あら、こわぁーい!蓮君、助けてぇ~!」

「お任せください!ミクお姉さん、なずなちゃん、下がってください!」



女性2人(?)をかばって前に出る。



「ナイト気取りしやがって~!ほえ面かかせてやるよ!あいつを出せ!」

(あいつ?)



ボスの指示で、数人の男が舞台の奥に消える。



「こ、こっちだ来い!」



再び姿を現した時、1人増えていた。



「うう~」



スキンヘッドのタンクトップのシャツを着た大男が混じっていた。



「なにかしら、あいつ・・・?」



女言葉で瑞希お兄ちゃんがつぶやく。

細マッチョで、腕や首にタトゥーが入ってる。

そういう人を見たことないわけじゃないけど・・・



「目が・・・」

(焦点があってない・・・)



うつろな表情が不気味だった。

さらに言えば、そいつを呼んできた敵達が男を遠巻きにして距離を取っていることも気になった。



「蓮君・・・気づいた?」

「ええ・・・ちょっと、危なそうですね。」



トンファーを構え直しながらゆっくり近づく。



「さあ、やっちまえX!凛道を血祭りにして賞金を手に入れるぞ!」

「うう~!」



エックスというのが男の呼び名かと思いつつも、まだ私への賞金話は有効なのかとあきれる。



「はっ!」



地面をけって相手の間合いに入る。



「はあっ!」



みぞおちを狙って蹴りを入れる。

防がるのを覚悟して攻撃したがー



メキッ!

「あれ?」



ノーガードのまま、相手は私の攻撃を受け止めた。



ドドーン!

「あれえ!?」



おまけにそのまま倒れた。



(もう終わり・・・?)



呆然としつつ、再度攻撃態勢を取ったら・・・



「うう~~~~~!!」



素早く敵は起き上がる。