途端に、本日一番の歓声が上がる。
「体で払うか、いいねぇ!」
「あれなら稼げるよな?」
「良いこと言う~しびれちゃった!」
「面白いじゃないか!」
「いいぞぉー!」
私の言葉に納得するギャラリー達。
そんなクズ共に向かって、英国紳士のようなきれいなお辞儀で答える。
それで割れんばかりの拍手が巻き起こる。
鳴りやまぬ拍手の中、素早く私は動いた。
「そういうわけなので、行きましょう、なずなちゃん。」
「蓮君・・・」
「君は、9番じゃない。なずなちゃんだよ?」
「蓮君!」
「さあ、彼女を離してください。」
なずなちゃんの体を抑えている男2人に言う。
彼らは互いに顔を見合わせ、どうするべきか迷っていた。
「は、離せって言っても・・・」
「黒木さんが――――――」
「離せ・・・!!」
出せる限りの低い声で、メンチをきりながら告げる。
それで、私をにらみながらも、なずなちゃんを離しかけたのだが――――――
「勝手なこと言ってんだ!?」
あとちょっとのところで邪魔が入る。
「クソガキ!!商品のくせに、なに勝手なことしてんやがんだ!?」
声の主は、戻ってきたMESSIAHのボス・黒木だった。
「勝手に入札しやがって!金払えないだろう!?」
「払いますよ、身体で。」
そう告げれば一瞬固まるが、すぐにメンチをきりながら言ってきた。
「出来ないこと言うな!お前ら、ぼーとしてないで捕――――――!」
敵の親玉が言いきらないうちに動いた。
ポケットに両手を突っ込んで引き抜く。
ヒュンヒュン!
ドッ!
「ごふ!?」
ドス!
「ぐあ!?」
なずなちゃんを羽交い絞めにしていた馬鹿と、薬を飲ませようとしていた馬鹿にトンファーを食らわせた。
それで吹っ飛ぶ半グレ2人。
「きゃっ!?」
バランスを崩して、倒れそうになったなずなちゃんを抱き留める。
「な、なんだあの武器!?」
「ボディーチェックが甘くて助かりました。」
「蓮君!」
「怪我はないですか?」
「怖かった・・・!」
抱き付かれた時、視界に金色の頭がうつった。


