彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




途端に、本日一番の歓声が上がる。



「体で払うか、いいねぇ!」

「あれなら稼げるよな?」

「良いこと言う~しびれちゃった!」

「面白いじゃないか!」

「いいぞぉー!」



私の言葉に納得するギャラリー達。

そんなクズ共に向かって、英国紳士のようなきれいなお辞儀で答える。

それで割れんばかりの拍手が巻き起こる。

鳴りやまぬ拍手の中、素早く私は動いた。



「そういうわけなので、行きましょう、なずなちゃん。」

「蓮君・・・」

「君は、9番じゃない。なずなちゃんだよ?」

「蓮君!」

「さあ、彼女を離してください。」



なずなちゃんの体を抑えている男2人に言う。

彼らは互いに顔を見合わせ、どうするべきか迷っていた。



「は、離せって言っても・・・」

「黒木さんが――――――」



「離せ・・・!!」



出せる限りの低い声で、メンチをきりながら告げる。

それで、私をにらみながらも、なずなちゃんを離しかけたのだが――――――




「勝手なこと言ってんだ!?」




あとちょっとのところで邪魔が入る。



「クソガキ!!商品のくせに、なに勝手なことしてんやがんだ!?」



声の主は、戻ってきたMESSIAHのボス・黒木だった。



「勝手に入札しやがって!金払えないだろう!?」

「払いますよ、身体で。」



そう告げれば一瞬固まるが、すぐにメンチをきりながら言ってきた。



「出来ないこと言うな!お前ら、ぼーとしてないで捕――――――!」



敵の親玉が言いきらないうちに動いた。

ポケットに両手を突っ込んで引き抜く。



ヒュンヒュン!


ドッ!

「ごふ!?」

ドス!

「ぐあ!?」



なずなちゃんを羽交い絞めにしていた馬鹿と、薬を飲ませようとしていた馬鹿にトンファーを食らわせた。

それで吹っ飛ぶ半グレ2人。



「きゃっ!?」



バランスを崩して、倒れそうになったなずなちゃんを抱き留める。



「な、なんだあの武器!?」

「ボディーチェックが甘くて助かりました。」

「蓮君!」

「怪我はないですか?」

「怖かった・・・!」



抱き付かれた時、視界に金色の頭がうつった。