彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「これは、心身ともに回復するタイプなので、心身が弱っている9番ちゃんで試してみましょう!」



そう言うと、周囲に身振り手振りで指示を出す。

それを受け、座り込んでいるなずなちゃんの両脇を男2人が掴んで立たせる。



「即効性で、夜の営みにも抜群の効果があります!さあ、試してみよう!」



気持ちの悪い笑顔で司会者が言う。

なずなちゃんに、グラスの水と薬が勧められる。

それに彼女は――――――



「いやぁ!!」

ガシャーン!



激しく抵抗する。



「やだやだ!やめて!」



暴れて振り払った手が、グラスも水も床に散らばった。



「もう薬を飲むのは嫌!体も売りたくない!」



泣きながら叫ぶ。



「コラコラ、大人しくしなさい。」



その態度に笑顔で答える半グレ達と。



「おい、早く飲ませろよ!」

「俺が飲ませようかー?」



笑いながら見ている客達。



「やめて、やめて!」

「良い子にしなさい。」



そう言って後ろからなずなちゃんの体を、前からなずなちゃんの顎をつかんで抑え込む屈強な男達。

2人がかりで押さえられ、口を開かされるなずなちゃん。

それだけでも許せないのに・・・



「お客様、飲ませてみますか?抑えておきますので?」

「い、いいのか?ぐふふふ・・・!」

「どうぞどうぞ!お客様の手で、わがまま娘を従順にして下さいね。新しい水もお持ちしますので。」

「じゃあ、口移しで~」

「どうぞどうぞ。」

「いやぁー!!」



なずなちゃんを買った男に、彼女がいやがることをすすめ始める司会者。

それで盛り上がる周囲に、完全に気持ちが冷えた。



「や・・・助けてぇ!!お母さん!お父さん!おねえちゃあん!!」



家族の名を必死で呼ぶ姿。

我慢できなくなった。




「凛っ!?」




ミクお姉さんの制止を振り切る。




「助けて、『お姉ちゃん』!!」

「『お兄ちゃん』じゃダメですか?」

「え・・・?」



ドスッ!

「ぎゃっ!?」





水を受け取った馬鹿な客を、背後から蹴り上げる。

もちろん、股間を下から蹴った。



ガチャ―ン!



それで再びグラスが割れる。



「ごおお・・・」

「お、お客様!?」

「誰だ!?ふざけた真似するのは!?」

「あ!?お前!?」

「蓮君・・・!?」



股間を抑え、うずくまる馬鹿を足で踏みながら言った。